物のもち方

陶器の産地・佐賀県の人はこんな話をしてくれた。伊万里、唐津、有田とそれぞれ美しく、個性的な陶器を創り出す街の人々は、何か祝いごとがあるたびに陶器を贈り贈られることが多いらしい。「いいなと思う食器を贈られたら、窯を調べて、お客さま用のものを5~6個買い足しておくのですよ。私たちは普段からよい食器を惜しまず使います。お客さま用と同じなんですよ」と。考えてみれば、普段から上質のお気に入りの食器で食事をいただくなどとは、なかなかどうして心の贅沢ではないか。 食器に隕らず、要は、収納を考える以前に、「物のもち方」が重要なのだ。そもそも、日本は、四季があり季節ごとの行事もある。季節に応じた衣類から、着物・浴衣・ドレス、お雛さまやクリスマスツリー、ここ3世代であまりにも価値観が変化し多様化した日本には、大量の情報が流入してきた。それを私たちはあまりにも無防備に取り入れてしまった。物と情報が一度に嵐のように降ってきて、家の中は洪水となっている。収納を考える前に、まず物のもち方を考えなくてはならない。それには、「いったい私はどんな生活がしたいのかしら?」と考えてみること。しかし、どんなといってもこれがなかなか難しい。しかし、じっと自分の生活と照らし合わせてみると、本当に必要なもの、絶対に飾っておきたいもの、ぜひもっておきたいものは、実はとても少量だと巧ことに気づくだろう。まず、物の整理、もち方、暮らし方から見直したいものだ。家の中に転がっている雑多な物を収納しようとするとき、私たちはホームセンターやインテリアショップに行って、「物を収納するもの(ボックスや家具)」を買いたくなる。考えてみれば、部屋の中に並んだ不揃いの家具は見苦しいもの。木製のものに雰囲気を統一しようと思っても、微妙にトーンや大きさが違っていて、美しくは見えないことが多い。ここではちょっと発想を転換して、すぐれものの家具を利用した収納を考えてみよう。ガーデニングブームがすっかり浸透した。我が家にも小さな庭がある。隣の実家との境界の2坪ほどの小さなスペース。家の西側は斜而になっている。小さな裏山になっている。新築当時、この裏山にはさくらんぼの木が1本あるだけで、草1本はえていなかった。白っぽい眇(まさ眇)に獲われた地面に、私は花を植えようとした。花屋に行くと、花の苗というのは以外に高いということを発見する。「まあ?! 花ってなんて高いのかしら?これを庭にいっぱいに植え ようと思ったら、100株は買わないと。何か、手っ取り早くてしかも安く花を増やす方法はないかなあ?」そうして思いついたのが、大きく増える鵑物を植えるということだった。